2024年09月05日

家族信託は遺言の代わりに使える?家族信託と遺言の違いを解説

家族信託は遺言の代わりに使える?家族信託と遺言の違いを解説

自分が死んだときに財産を残したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。財産を残すためには、遺言や家族信託という方法があります。どちらも、財産の行き先を指定できる方法ですが、どのような点が違うのかわからない方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、家族信託は遺言の代わりに使えるかについてご紹介します。家族信託と遺言の違いを説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

家族信託は遺言の代わりに使える

家族信託は遺言の機能も持ち合わせています。家族信託は、親の財産を子に信託することで、子がその財産を管理できます。そのため認知症対策としても有効といえるでしょう。家族信託をした場合、亡くなった後財産を具体的にどのように承継するかは、家族信託の契約書で定められます。

このように家族信託は認知症対策だけでなく、遺言の代わりとして使えるといえるでしょう。遺言の機能を持つ信託は遺言代用型信託と呼ばれます。終活の準備や認知症への備えとして、遺言機能のある家族信託を活用しましょう。

家族信託と遺言書の違い

家族信託と遺言書の違いについてご紹介します。

効力発生時期

家族信託と遺言書は、効力発生時期が違います。家族信託契約の場合、契約自由の原則によって両当事者が望む時期から効力の発生が可能です。家族信託契約を結ぶ目的には、認知症などの理由で、委託者が財産の管理を十分にできない事態に備えることが挙げられます。

家族が財産を管理できるようにするために、委託者の生前から家族信託契約を発効させることが多いでしょう。一方で遺言は、遺言者の死亡によって効力が生じます。遺言者が亡くなるまでの間であれば、最終意思といえる遺言は何度でも書き換えられます。

しかし、遺言者が生きている間は財産を移転させる効力はありません。そのため、遺言書は認知症対策としては利用不可となります。認知症対策で柔軟に財産を活用したい場合は、家族信託が適しているといえるでしょう。

遺言代用信託

遺言代用信託とは、委託者が死亡したときに受益者と指定された人が受益権を取得する定めのある信託です。この信託は、受益権を取得する時期が遺言によって財産を承継する時期と同様になります。

二次相続以降の指定が異なる

遺言では、直接被相続人から財産を相続する人と、その取り分である一次相続を定められます。しかし、相続人が相続後に相続財産をどのように処分するべきかについては指定できません。相続人が相続した後は、相続人の財産になります。そのため、相続人の意思に基づいて財産の使用や収益、処分が可能です。

一方、家族信託の場合、信託契約において受益者連続信託をすることで、財産がどのように承継されていくか指定できます。たとえば、第一の受益者を委託者本人にし、委託者が死亡した場合は第二受益者を委託者の配偶者、第二受益者が死亡した場合の第三受益者が子どもというように指定できます。また、財産の処分方法についても指定できるため、先祖から受け継いだ土地を売却せず、土地のままに受け継いでほしいといった指定も可能です。

変更の方法が異なる

遺言書の作成後や家族信託契約を締結したあと、さまざまな事情や心持の変化によって内容を変更したい場合もあるでしょう。遺言書は単独の法律行為です。そのため法律によって定められた要件で手続きすれば遺言者の意思によって何度でも変更できます。一方で家族信託は契約なので、契約を変更する場合は委託者や受託者および受益者の同意が必要です

家族信託と遺言はどちらが優先されるか

遺言制度は一般法の民法に基づいている制度です。一方で家族信託は特別法である信託法に基づいています。原則、特別法は一般法より優先されます。ここからは2つのパターンをみていきましょう。

遺言書の作成後に家族信託契約を締結した場合

遺言書を作成しても、内容が絶対的なものではありません。もし遺言書に抵触する行為をした場合、その部分は撤回したものとみなされます。遺言書の作成後に家族信託契約を締結した場合は、家族信託契約が優先されます。

家族信託契約締結後に遺言書を作成した場合

家族信託で信託財産に組み入れた財産は信託財産として存在するため、委託者固有の財産から離脱します。そのため、家族信託契約を締結後に遺言書を作成する場合、信託財産は委託者の財産でないため、遺言書に書けません。このようなケースでも、家族信託が優先となります。

まとめ

今回は、家族信託は遺言の代わりに使えるかについてご紹介しました。家族信託や遺言を行う場合は、最終的な信託終了時の出口戦略を考えなければなりません。家族信託の実績がある専門家と相談しながら手続きを進めるのがおすすめです。

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