2024年07月20日

家族信託で委託者死亡後の契約の行方は?死亡後の相続などについて解説

家族信託で委託者死亡後の契約の行方は?死亡後の相続などについて解説

家族信託を行う家庭では、委託者である親の認知症などに備えて信託設計をすることが多くなります。しかし委託者に起こる不測の事態の中には死亡も含まれます。信託契約の当事者内で中心人物ともいえる委託者が死亡した場合は、信託契約はどのようになってしまうか疑問に思う方もいるでしょう。今回は家族信託で委託者が死亡した際と、その後の相続などについて詳しく解説していきます。

委託者が死亡で家族信託は終わる?

委託者が死亡したことで家族信託は、契約が終了するように考えられる方もいるでしょう。しかし家族信託は、かならずしも委託者が死亡したことによって契約が終了するわけではないのです。それでは委託者死亡後の家族信託契約の行方について解説します。

基本的に信託契約は継続

信託契約は、委託者が死亡した後も基本的には継続されます。ただし信託契約に死亡によって契約は終了するように設定がされていれば、死亡と共に信託契約は終了することになるのです。死亡時の終了の設定がない場合は、その後も受託者は財産管理を継続しなければなりません。

信託財産の相続

委託者死亡後も継続される可能性のある家族信託は、委託者不在のまま財産管理を永遠に継続することは困難でしょう。そのため空いた委託者の地位や財産を相続して、財産管理の見直しなどを行いたいと思うのが通常の心理といえます。委託者死亡後の地位と財産の相続などについて解説していきましょう。

相続は信託内容による

地位や財産の相続については、信託契約内に死亡後の設定がされていれば、契約に基づいて対象者に地位や財産の相続が行われることになります。信託契約内に相続についての設定がされていない場合は、自動的に法定相続人に地位が相続されることになり、その後の財産管理の方向性を決定することが可能になるのです。委託者死亡後の思わぬ紛争を防ぐためにも信託設計を行う際に、細かく具体的な内容を設定しておくことが大切になります。

遺言信託

信託の中には、死亡と共に信託が開始される遺言信託というものもあります。遺言信託では、財産の相続や処分先などを設定することになるのです。文字通り遺言同様の効果を目的とした信託であり、財産をどのように処分するかなどを決められるのです。委託者死亡と共に開始するため、委託者が不在の状態ではあるものの、遺言信託では委託者の地位が相続されません。これは残った親族などに委託者の地位を与えることで、委託者の本来の意向と違った財産処分などを行われないようにするためです。

帰属権利者

委託者が死亡した後に信託財産の清算や処分を行っても、信託契約の内容次第では財産が残ることもあります。帰属権利者はそのような残った財産の受取人として財産を受け取れるのです。帰属権利者の指定がない場合などは、相続人が帰属権利者となります。

委託者が死亡した後に行うべき手続き

委託者が死亡した後は、信託の終了や継続に関わらず受託者はさまざまな手続きを行う必要があります。これらの手続きを怠ると思わぬトラブルに発展する可能性もあることから、確実に行うようにしましょう。委託者が死亡した後に行うべき手続きなどを解説していきます。

財産の清算と名義変更

委託者の死亡により信託が終了した際は、信託契約に従って信託財産の清算や処分などを行います。必要な財産の手続きを行った後、残った財産については帰属権利者に渡すのです。帰属権利者は受け取った財産に不動産などが財産内に含まれる場合は、所有権移転登記の変更などが必要になるため注意が必要です。また信託終了の届出も行う必要があります。

そして委託者死亡後も信託が継続する場合は、新たな委託者と受益者の変更手続きを行わなければなりません。信託口座がある場合は、口座を開設している金融機関への報告をかならず行うようにしましょう。また不動産がある場合は、信託目録変更登記も必要になります。

税務手続き

委託者の死亡で家族信託が終了した際は、翌月末日までに税務署への届出が必要になります。ただしすべてのケースで届出が必要ではありません。信託終了直前の受益者が帰属権利者である場合や信託財産の相続評価額が50万以下の場合、信託財産がすべてなくなっている場合は、届出の必要はありません。

信託財産の中に不動産がある場合は、帰属権利者への移転登記の手続きで登録免許税や不動産取得税などがかかります。これらの税については、一定条件を満たすことによって税率の軽減措置を受けられることもあるので、確認が必要です。

まとめ

家族信託では、委託者に限らず受託者や受益者などの当事者に不測の事態が起きることも想定しましょう。できるだけ細かく具体的に信託内容を設定しておくことが大切です。また家族信託の内容は、家族の状況に合わせて定期的に見直すように心掛けて、当事者の死亡などにも備えられるようにしましょう。

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