2024年05月20日

家族信託のインボイス適格請求書発行事業者は?受託者・受益者について解説

家族信託のインボイス適格請求書発行事業者は?受託者・受益者について解説

令和5年10月1日に開始されたインボイス制度で、家族信託している場合、適格請求書には誰の登録番号を記載すればいいのかわからない方もいらっしゃるでしょう。受託者と受益者のどちらを記載するか悩んでしまうかもしれません。そこで今回は、インボイスでは誰の登録番号を記載すればいいかについてご紹介します。また、家族信託の受託者や受益者、委託者の役割についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

インボイスでは受託者と受益者どちらの登録番号を記載するか

不動産を家族信託している場合、テナントビルや駐車場から発生した賃料の消費税は、受益者が納付しなければなりません。受益者がすでに消費税課税事業者である場合について説明します。

まず受益者がインボイスの登録番号を取得します。適格請求書には受託者が請求事務を行い、受益者の代理交付であることを記載しましょう。適格請求書には受益者の登録番号の記載が必要です。媒介者交付特例の活用も考えられます。しかし、家族信託の場合、家族が受託者になることが多いため、受託者も消費税課税事業者であるケースは少ないでしょう。

家族信託の委託者、受託者、受益者の役割

信託契約を結ぶ場合は委託者と受託者、受益者を定める必要があります。ここでは、それぞれの役割についてご紹介します。

受益者

信託における受益者は、信託財産の利益を受け取る人です。受益者は対象者を制限する規定がないため、誰でもなれます。受託者の場合は未成年者を指定できないというルールもあります。しかし、受益者にはそのような制限がありません。未成年者はもちろん、胎児や将来生まれてくる可能性のある子どもも受益者になれます。

また、個人ではなく法人を受益者に指定することも可能です。つまり、受益者の対象は無制限と考えられるでしょう。受益者は委託者本人にもできます。また、第三者を指定することも可能です。委託者本人が受益者となる信託を自益信託と言います。また、第三者を指定する場合の信託契約は他益信託と呼ばれます。

受託者

受託者は、委託者である本人から信託された財産を管理、運用する人を指します。信託契約で定められた目的に従って財産の管理や処分を行い、信託の目的を達成するために必要なすべての行為をする権限があります。

家族信託における受託者は、基本的には信頼できる家族などです。一般的には家族や親戚、友人が多いでしょう。選定には慎重な検討が必要です。とくに高齢者の財産管理や認知症対策が目的であれば、本人の判断能力がなくなったあとも受託者は財産管理を行い、責任をしっかりと果たさなければなりません。家族信託で受託者となる個人に、特別な資格は不要です。

また、家族以外でも受託者になれます。ただし、信託法第7条によって未成年者は受託者になれないと定められています。なぜなら、未成年者には法的に有効な契約を結ぶ能力がないからです。受託者を孫にしたいと考えている場合は、年齢を確認しましょう。未成年者以外の誰でもなれますが、選んだ人が財産の管理や運用を適切に行えるか、慎重に判断することが重要です。

委託者

信託における委託者とは信託を設定し、信託の目的や受益者、信託期間などを定める人のことです。自己の保有財産を受託者に移転し、信託の目的に合わせて受益者のために受託者に信託財産の管理や処分させる役割を担っています。つまり、もともと財産を持っている所有者です。その財産を託す人は委託者と呼ばれます。委託者は信託財産の管理や処分方法について、さまざまな定めを置けます。

また、家族信託を利用する際、委託者となる人は意思能力が必要です。意思能力とは、法律的な判断をするための認知能力です。意思能力がない場合、契約などの法律的な行為ができず、契約書を結んでも無効となります。意思能力があるかについての判断は、法律的な判断が必要です。最終的には契約を結んだあとに、それが無効ではないかと争う人が出てきた場合、裁判を行って裁判所が判断します。

まとめ

今回は、インボイスでは受託者と受益者どちらの登録番号を記載すればいいかについてご紹介しました。インボイスの仕組みがわからず信託や相続に関する悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。インボイスの効力が相続されるか悩んでいる方もいます。インボイスの登録事業者である親が死亡し、子が事業を承継した場合、親のインボイス登録は引き継がれません。手続きが不安な方は専門家に相談しましょう。

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