2024年06月05日

家族信託にデメリットはある?デメリットを注意点や解決策を合わせてご紹介

家族信託にデメリットはある?デメリットを注意点や解決策を合わせてご紹介

高齢化が進む上で注目されるようになった家族信託に、デメリットはあるのでしょうか。家族信託とは委託者である親が、元気である内に子どもを受託者として、財産の管理運用を託す契約です。複雑である家族信託は、仕組みを理解して契約をすることが重要になります。家族信託にはメリットも沢山ありますが、どのようなデメリットが隠されているのでしょう。この記事では家族信託のデメリットをご紹介します。注意点や解決策も合わせて解説していくので、家族信託を始めたいけれど、少し不安だと感じている方は必見です。

家族信託のデメリットとは?

まずは家族信託のデメリットといわれる部分を一気にご紹介します。

  • 受託者の負担が大きいといわれている。
  • すべての財産を信託できるわけではない。
  • 親族の間でトラブルが発生する恐れもある。
  • 家族信託を得意とした専門家が見つからない可能性もある。

それでは以下で解説していきます。

受託者の負担が大きいといわれている。

家族信託において中心となる人物は委託側ではなく、受託者です。父が委託者となる場合、その子どもである誰かが受託者として選定されます。高額な財産を扱う場合は、その責任も大きなものになるのです。受託者は信託法に則った義務を全うする責任があります。

  • 善管注意義務(信託法29条)
  • 忠実義務(信託法30条)
  • 分別管理義務(信託法34条)
  • 公平義務(信託法33条)
  • 信託事務を第三者に委任する際の選任、監督義務(信託法35条)
  • 帳簿等の作成、報告、保存義務(信託法36条・37条)

この中でとくに負担になると想定される義務は「帳簿の作成、報告、保存義務」です。信託内容によっては、この作業を毎日行う必要があり、大きな負担と感じる方は少なからずいます。この他にも不動産などの信託財産から収入がある場合、受託者が政務書に「信託計算書」や「信託計算合計表」を毎年提出する必要があるのです。

また、受託者には「無限責任」というものがあるのです。この責任は信託法21条で定められています。委託者の生活費や医療費の支払いが、託された資金では足りなかった場合、この支払い義務は受託者にあるのです。受託者個人の財産から払う必要があります。

しかしこのデメリットは専門家に相談することで解決できます。受託者に大きな負担がいかないように、信託内容を工夫することが重要です。

それでも「面倒なことは嫌なので、受託者にはなりたくない。」と受託者を引き受けてもらえない場合もあります。受託者が見つからないかもしれないという問題は、家族信託においてよくあるケースです。この場合、家族以外で信頼できる方に受託者を引き受けてもらえます。

子ども以外の親族、または血縁関係のない第三者でも信頼できる方であれば就任ができるのです。スムーズに内容を決めるのが難しい家族信託では、知識のある専門家に依頼することでトラブルを回避できます。

すべての財産を信託できるわけではない

家族信託では法律で信託できないと定められているものがあるのです。

  • 貯金債権(貯金してある銀行口座)
  • 農地(地目が田や畑であるもの)
  • 一身専属権(年金受給権や生活保護受給権)

委託者が貯金を行っていた貯金債権は信託財産として認められません。金融機関と口座名義人との間で譲渡禁止特約というものがあるためです。しかし金銭の信託はできます。貯金してある銀行口座は信託できませんが、「◯◯円」と表現し金銭信託といった形で行いましょう。

農地を信託する場合は、その土地を農地ではないとするための許可が筆頭となります。(農地転用許可)農地が「市街化調整区域」の場合は農業転用許可を得る申請が必要です。しかし農地が「市街化区域」の場合は農業委員会へ届け出るだけで問題ありません。市街化区域の届出はすぐに完了しますが、市街化調整区域の申請には時間がかかります。農地を信託する場合は早めの手続きを忘れずに行いましょう。

年金や生活保護の受給権そのものを信託することは認められません。しかし貯金債権と同様に金銭の信託は可能です。年金や生活保護が振り込まれたものを、金銭としてなら信託できます。年金や生活保護は受け取り口座から、信託口口座に移動するようにしましょう。

親族の間でトラブルが発生する恐れもある

家族信託は財産を託すものであり、大きな資金が動くものです。これまで仲の良かった兄弟でも、財産をめぐってトラブルに発展するというのはよく耳にします。家族信託は委託者と受託者の二者のみで成立してしまう契約です。契約締結前にご家族で話し合い、相続人それぞれが納得した形で行わないと、トラブルに発展してしまいます。

相続人同士で合意せずに締結してしまうと、遺留分侵害請求を受ける可能性もあるのです。実際に後から兄弟が反対し裁判になってしまったというケースがあります。遺留分とは法定相続人に対して、財産の相続が最低限保障される制度です。遺留分まで配慮して、家族信託を設定しないとこういった相続人同士のトラブルにつながります。

親族同士で揉めないためには知識のある専門家に相談し、間に入ってもらうことが大切です。家族会議では納得してくれなかった親族も、専門家のアドバイスで理解して納得してくれる場合があります。

家族信託を得意とした専門家が見つからない可能性もある。

新しい制度である家族信託は、まだ得意としている士業が少ないといわれています。家族信託を依頼する先は弁護士や司法書士はおすすめですが、家族信託の経験が浅い方もいるというデメリットがあるのです。家族信託を利用する場合は、家族信託の実績がある専門家に依頼するようにしましょう。

さまざまな士業の中でも「司法書士」が家族信託の依頼先としてはおすすめです。ご家族の中立になって話し合いを進めてくれるだけでなく、必要書類や手続きなど司法書士に依頼できる手続きは多くあります。依頼したいと考えている司法書士が、家族信託の実績があるのか確認するようにしましょう。

まとめ

この記事では家族信託にはどのようなデメリットがあるのかをご紹介しました。需要が増えている家族信託にはもちろんメリットも沢山ありますが、デメリットについても理解することが重要です。そのデメリットをどのようにして補うのか、必ず解決策はあります。家族信託は知識のある専門家に依頼をして、確実に手続きすることがおすすめです。

神奈川県横浜市にあります「横浜の家族信託なら播司法書士事務所」は、豊富な家族信託の実績がある司法書士です。相続人それぞれの気持を尊重し、皆さまにご納得いただける提案をいたします。豊富な実績を活かし、良心的な費用で皆さまのご依頼に答えていきます。家族信託や相続でお悩みのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。